[No.1] 個性を探し、育ててくれる大学 (2011年卒業 大崎詩央)

2014-03-14

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私は、ジュニアアカデミー(大学の校舎で小学校〜高校生を対象とした土曜音楽学校)から大学、そして大学院まで約10年間にも渡ってアカデミーにお世話になった。

「なぜドイツ、オーストリア、フランス、ロシアじゃなくてイギリスに留学したの?」とよく聞かれた。

確かにイギリスは代表的な「音楽の都」ではない。ドイツやフランスみたいにクラシック作曲家をたくさん生み出したわけでもない。しかし、なぜかたくさんの有名な音楽家が移住し、優秀な生徒たちが集まってくる。そして様々な国の演奏家達はロンドンに呼ばれ、毎日様々な場所でコンサートが行われている。(以前ウィーンフィル、アンドラ・シュ・シフのソロが同時間に別会場でコンサートを行う事があり、どっちに行こうか真剣に悩んだ覚えがある。)ロンドンという国際都市、大都市だからこそかなえられる音楽環境である。そしてそういったすばらしい環境をアカデミーは生徒達のために最大限に使用し、提供してくれる大学である。

アカデミーはクラスの一環として毎週マスタークラスが実施され、内部、外部の先生に習う事ができる。そしてそれ以外にも自分の先生以外に個人レッスンを受ける事ができる。私は大学4年間、大学院2年間の間に何十人もの素晴らしい先生、音楽家にレッスンを受けた。時には1週間の間に3人にレッスンを受けたときもあった。「今日はドイツから○○先生がいらっしゃっているからレッスン受けておいで」、「ブラームスは○○音楽家の専門だから学んでおいで」と私の先生はいつも色々な機会をあたえてくれた。特に影響を受けた先生は今は亡き、ロシア出身のアレクサンダー・ザッツ教授である。彼は普段グラーツで教えていたが、2〜3ヶ月に一回ロンドンに訪れ、アカデミーで1週間教えていた。ザッツ教授が他の先生と違っていたところは常に楽譜に忠実であるところだ。「なんでここはスラーを書かなかったと思う?」「なんでここのテンポはallegroだと思う?」と作曲家が曲を書いていた時の心理を追求してくる。楽譜に書いてある事のみに没頭していた私はいつも言葉につまってしまった。しかし、教授はそんな私に「僕はね、」と教授の推理を丁寧に説明をし、見本を弾いてくれた。教授の考え尽くされた考え、そして繊細な音にいつも私は影響を受け、また翌日から新たな気持ちで練習に取り組む事ができた。ザッツ教授以外は内田光子さんにモーツァルトのコンチェルトのレッスンを受けた時もすごい感動した。演奏家としてずっと憧れていた内田光子さん、モーツァルトを世の中で一番知り尽くしているであろう彼女に目の前で見本を見せてもらい、彼女が考えるモーツァルト分析を私だけのために披露してくれる。そんな機会滅多にないであろう。

すべてのレッスンにおいて共通している点は何百倍、何千倍も様々な経験をしているプロたちが、生徒達にアドバイスをする時に「I think」と前置きする。「絶対こう弾かなければいけない!」と押し付けるのではなく、学生達に「私はこう思うけれど」と一音楽家として意見を述べる。私はよく「様々な人の意見を聞いて自分の音楽を見つけていきなさい」と先生に言われた。クラシック音楽の難しいところは同じ曲、同じ楽譜を使っているのに「この人の演奏が一番!」とお客さんに思わせなければいけない事だ。アカデミーはいろんな先生の意見を聞く事で、他人とどう差別化できるか、自分の個性をどう表現できるかを見つけていくお手伝いを提供してくれる。そしてアカデミーの生徒は自然と自分の得意な分野・作曲家を見つけていき、各自の個性を確立していく事ができる。

 

自分独自の音楽世界を探している人、プロからの刺激を欲している人、自分の個性を確立したい人にはアカデミーがおすすめです!一度アカデミー出身の人に詳しい話を聞いてみて下さい。

大崎詩央 Shio Osaki (2011年卒業)

 

 

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